柏レイソルの2023年度決算情報が公開された。他のクラブとは異なり3月決算のため、遅れての情報公開となった。ここでは決算情報からわかることをまとめていく。
https://aboutj.jleague.jp/corporate/assets/pdf/club_info/j_kessan-2023.pdf
売上は微減もスポンサー収入が過去最高
まず売上高は、44億1900万円であった。前年度が約46億円だったので2億円の減となった。ちなみに前年度は柏レイソルにとって、過去最大の売上であった。そのため昨年度の戦績を考慮すると、悪くはないと言える。
内訳は以下の通り。
・スポンサー収入:31億1100万円
・入場料収入:4億1300万円
・Jリーグ配分金:2億9500万円
・アカデミー関連収入:2200万円
・物販収入:1100万円
・その他収入:5億6700万円
柏レイソルの主な収入源は、日立をはじめとするスポンサー収入が大きな割合を占めている。浦和レッズ、川崎フロンターレに次いで、Jリーグで3番目に金額が大きい。そして今年度の金額は、クラブ史上最高の数字である。
昨年度と比較し、入場料収入は約7000万円の減、Jリーグ配分金も約8000万円の減となった。なお物販収入については、加茂商事に委託しているため公表されている金額が全てではない。
その他収入については、天皇杯の準優勝賞金5000万円や、選手の移籍金などが含まれる。山田康太や仙頭啓矢、椎橋慧也、森海渡ら退団したが、彼らの移籍金はそれなりであることが読み取れる。
トップチーム人件費を削減
売上原価(支出)は30億9100万円であった。昨年度と比べて約6億円を削減する結果となった背景には、債務超過によりJリーグクラブライセンスのペナルティとなる可能性があったことが挙げられる。後述するが結論から言えば、債務超過は解消されたためこのリスクを回避できた。
内訳は以下の通り。
・トップチーム人件費:26億5400万円
・試合関連経費:1億1500万円
・トップチーム運営経費:1億7600万円
・アカデミー関連経費:1億4500万円
・物販関連費:100万円
・その他売上原価:0万円
・販売費および一般管理費:8億600万円
大きくウェイトを占めているトップチーム人件費については、ネルシーニョ前監督の退団が大きかった。レイソルに黄金期をもたらした名将は、Jリーグで最も年俸が高い監督であったためだ。またエメルソン・サントスやアンジェロッティといった外国籍選手の放出も同様に起因していることが考えられる。一方で2024シーズンの開幕前に獲得したのは主にJ2で戦った選手のため、昨年度よりも約5億円の削減となっている。
収支は黒字
そして営業利益は5億2200万円、当期純利益は4億9000万円となった。前述した通り、債務超過によるペナルティのリスクがあったものの、解消することに成功した。
債務超過が3シーズン続くなどすれば、最悪の場合はJ1のステージに立てないことが懸念されたために、早く解消されたことは一安心である。
Jリーグ公式HP
https://aboutj.jleague.jp/corporate/assets/pdf/club_info/club_doc-2023.pdf
クラブのさらなる発展を
Jリーグ60クラブの総売上高は、過去最大を記録した。レイソルも順調に伸ばしているが、スポンサー頼みの収益構造は将来的にいつか難しくなるので、それ以外でどのように収入源を見つけるかが、引き続き課題となっている。
近年はグッズ販売に力を注いでおり、様々な商品が企画されホームゲーム時に販売されている。この傾向は良いと思っているので、例えばコアなサポーター向けに高単価な商品も検討してみてはどうだろうか。また私有地の特性を活かし、ミュージアムを建設してみても面白いかもしれない。
今後も柏レイソルというクラブが発展するために、経営陣は様々な模索を続けていただきたい。
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