11/30(土)にJ1第37節の柏レイソルvsヴィッセル神戸の試合が、三協フロンテア柏スタジアム(日立台)で開催された。勝利をすればJ1残留が決まる大一番、レイソルはまたも後半アディショナルタイムに失点を喫し、1-1で試合を終えた。ここでは、5試合連続の終了間際の失点について深堀りしていく。
後半AT10分にゴールを許す
前半立ち上がりから、ハイプレスで前からプレッシャーを掛け続けたレイソルは、5分に先制点を奪う。右CKの手塚のキックから、木下がヘディングシュートを決めた。その後もレイソルは再三チャンスを作る一方で、ヴィッセルはシュート3本、枠内シュート0に終わり、前半を1-0で折り返した。
後半の頭からヴィッセルは2枚替えを行ない、フォーメーションとビルドアップの形を修正した。すると徐々にペースを掴み始め、60分あたりからシュートチャンスを作り始める。一方のレイソルはカウンターから木下、小屋松が決定機を迎えるも、追加点を奪えない。
すると終盤に様々な事象が発生する。88分、レイソルのジエゴがペナルティエリア内で武藤を倒したことでVARが介入。主審はオンフィールドレビューの結果、PKの判定に変更した。またジエゴはこの日2枚目のイエローカードで退場となってしまう。しかし、このPKをキッカーの大迫が枠の外に外してしまう。
それでもアディショナルタイムは13分と表示され、猛攻を続けるヴィッセル。すると100分にこぼれ球を武藤が決めたが、副審がオフサイドフラックを上げた。このシーンもVARが介入。長い確認の末、オフサイドはなかったとしてジャッジを変更、ゴールは認められた。そして試合は1-1で終了した。
不可解な采配
レイソルのハイプレスは、前半確かに効果的であった。しかし後半、相手がビルドアップ時に3枚気味にしてきたことに対する対策が全くなかったため、試合の流れを渡してしまった。そして最初の交代カードは細谷に代えて小屋松を投入。サヴィオを中央に、小屋松を右、山田を左に配置を変えた。そして84分には木下と山田を下げて、フロートと熊坂を投入した。
上記の交代について、非常に違和感を感じた。まず早いタイミングで細谷を下げる意図は何であったのか。彼のスピードはカウンター時に生きるので、そのまま残しておくことが相手にとって脅威だったはずだ。また、配置変更をしたがそれぞれが本職でないポジションを務めた。不慣れなポジションで何を求めたのか、井原監督の狙いが全く理解できなかった。そして山田は疲労困憊で足が攣ってしまい、ようやく交代したのは84分。このタイミングが遅いのは明白であった。
そしてフロートと熊坂の投入だが、そもそもなぜ4-4-2のままで守り切ろうとしたのか。過去4試合で同じことをして、アディショナルタイムに被弾している反省があれば5バックにするために、三丸を投入するアイディアがあったはず。これまたサイドは不慣れなプレイヤーを投入した意図が不明だ。また、プレッシャーを掛け続けるタスクがあるFWには、なぜ垣田ではなくフロートを選んだのか。この点も違和感を感じざるを得なかった。
必然とも言える終盤での失点
レイソルはこの大事な終盤戦で、5試合連続で後半アディショナルタイムに失点を喫した。この3週間のオフで準備してきたものがあったはずだが、実らずに同じ事象を繰り返している。
この問題は限った話ではない。2023年シーズンも公式戦6試合でアディショナルタイムに失点。そして2024シーズンはそれを上回る、8試合で失点を喫している。終盤に5バックにする策は、以前試みているがそれでも失点をしていることから、井原監督は頑なに4バックを貫いている。しかし、その頑固さが仇となっていることは明らかである。
解説を務めた林陵平氏は上記について触れ、終盤の締め方が確立されていないことが問題であり、偶然ではないとコメントした。筆者もこの意見には賛同する。ベンチメンバーの人選や交代策も、もっと他にやりようがあったはずである。
例えば鵜木は水戸ホーリーホックで右WBを経験したので、5バックの右で起用しても問題はない。また前線から激しくプレスを掛けるのであれば、垣田と熊澤の2枚が現状ではベストだろう。
残留は濃厚だが・・・
この日の他会場の試合は、ジュビロ磐田が勝利し、アルビレックス新潟が敗北を喫した。この結果、北海道コンサドーレ札幌のJ2降格が決定した。またレイソルはアルビレックスを抜き16位に浮上した。
最終節でレイソルは引き分け以上でJ1残留を確定できる。負けたとしても、得失点差が「7」あるため、レイソルが大量失点またはジュビロが大量得点しない限りは、残留できるアドバンテージがある。
したがってレイソルが残留できる可能性は高い。しかし、レイソルサポーターはこう思う。「4シーズンで3回も残留争いをしていて良いのか?」「レイソルはどんな時も強くなくてはいけない。」これらの言葉が、フロント陣に届いているだろうか。
関連記事はこちら
gotohitachidai8.hatenablog.com
▼この記事の筆者について▼