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直近で見せた柏レイソルの新しい戦術の形とは?

6/28にJ1の清水エスパルスvs柏レイソルがAIAスタジアム日本平で開催された。試合は前半に2ゴールを決め、GK小島がPKストップを見せたレイソルが、2−0で勝利を収めた。この試合も含め直近で見せている柏レイソルの新しい戦術を深堀りしたい。

危ないシーンがあったが無失点勝利

アウェイの柏は、累積警告で出場停止の山田に代わって戸嶋がリーグ戦で5試合ぶりにスタメン。いつもの3−4−2−1で戦う。一方の清水も同じフォーメーション。右WBには法政大学在学中の日高を起用、初めてのスタメン抜擢となった。

フォーメーション図

序盤の8分に試合は動く。垣田が素早い切り替えで奪い返し2次攻撃へ転じる。小屋松がマイナスに折り返し、最後は久保が右足を振り抜く。シュートはDFに当たってコースが変わり、そのままゴールに吸い込まれて先制した。その後もレイソルが試合を優位に進め、両ウイングバックの小屋松と久保は大外だけでなく内側に入ってボールを引き出す回数が多く、ボールを奪われた後も素早い切り替えを見せ、清水に自由な前進を許さない。すると23分には追加点を挙げる。相手陣左サイド大外でボールを受けた小屋松が縦突破でクロスを上げると、ボックス内へ走り込んだ戸嶋がダイレクトボレーを沈め、リードを2点に広げた。

 

後半に入ると清水が立ち上がりから反撃に出る。序盤の5分間で北川が2度にわたってチャンスを迎え、49分には日髙にも決定機が訪れる。62分には乾の左CKからがゴールを脅かすも、柏守備陣の体を張った守りに阻まれ、ゴールまで至らず。71分、途中出場の矢島の左CKから、ペナルティーエリア内で柏のハンドが確認されPKを獲得。キッカーを務めた北川のキックは、GK小島に完全にコースを読まれ失敗。反撃の狼煙を上げるための最大のチャンスを逃した。後半アディショナルタイムには中原の直接FKがゴールへ向かったが、無情にも右ポストを直撃。このまま試合は終了し、0-2でレイソルが勝利した。

新しいビルドアップの形

リーグ後半戦に入り、リカルド・ロドリゲス監督は新しいビルドアップの形を構築している。前半戦では主に、右サイドに人員を割くような形を取っていた。3CBの右に入る原田が高い位置を取り、残りの2CBが後ろに構える陣形だ。そして左は小屋松がアイソレーションで1vs1を崩すパターンが多かった。

 

ところがルヴァンカップ東京ヴェルディ戦から、左CBに三丸を起用し新しい形を見せている。彼は攻撃力のあるサイドバックであるため、特徴を活かすべく攻撃時は高い位置まで駆け上がる。するとダブルボランチのどちらかがCBの位置に入り、中盤は小泉と渡井を含めた逆三角形を作る。そして久保と小屋松の両ウイングバックは、本来シャドーの2人がいるべきポジションに移る。

一時的にこのような4−3−3の配置になることがある。今までと異なる陣形を取ることで、相手チームの混乱を招いた。例えば、小屋松が中央でフリーとなってボールを受けて前進したシーン。本来エスパルスの右ウイングバックの日高がマークすべきだが、自身のポジションを崩したくないがためにマークを離してしまい、この現象が発生した。左WBのカピシャーバも同様に混乱し、乾から指摘を受けていた。また、中央でもポジションチェンジが多く発生して、誰がどの選手に付くか定まらないうちに、レイソルは2ゴールを決めることに成功した。

 

後半途中からは、三丸に代わって田中、小屋松に代わってジエゴを投入。三丸のアクシデントで田中を投入せざるを得なかったが、それでも彼は攻撃時にチームの戦術を崩さなかった。81分、幅を取ったジエゴに対し、田中がインナーラップで駆け上がる。ジエゴは田中とのワンツーからペナルティーエリア内でシュート。惜しくも枠を外れたが、3点目が入ってもおかしくなかった。このように、今までなかった多彩なバリエーションの攻撃は、相手チームを上回っていると言える。

新しい戦術はデメリットもある

上記で述べた戦術にはデメリットもある。まず、京都サンガFC戦で見せたクロス対応での不安定さである。3CBのうち2枚がサイドバック型であると、中央での対応に問題が生じる可能性がある。サンガとの試合で、クロスから全3失点を喫したのは、この新しい戦術が招いたものでもある。

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また、ビルドアップ時に低い位置からカウンターを受けた際は、失点のリスクがかなり高くなってしまう。熊坂が抜けたボランチ勢で、ディフェンスに特徴がある選手は少なく、個人での守備力が問われるシーンでは不安が一層増す。高い位置まで駆け上がってしまった原田、三丸が、自陣ゴール前まで戻るのに時間を要するため、2vs3の数的不利の局面を作られる可能性が大いにある。

進化を続けるリカルドサッカー

個人的にはこのような戦術の変化が見られるのは面白いと感じており、今までの柏レイソルにはなかった事なので、今後もどのような戦術をリカルド・ロドリゲス監督は考えているのか、非常に楽しみである。

 

リーグ戦を優勝するためには、常に相手をどう上回るかが鍵となる。2025シーズンの新しいポゼッションサッカーは、自分たちが主導権を握り相手を疲弊させるため、この夏場には間違いなく有効である。

 

鹿島アントラーズが2連敗を喫して、レイソルは勝点41で並んだ。暑さが増すここから、さらに勝点3を積み上げて2011シーズン以来の優勝を獲りにいくために、このような新しい戦術を把握して応援を続けたい。

 

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