J1百年構想リーグで柏レイソルは15位という厳しい結果に終わった。2025シーズン、リカルド・ロドリゲス監督が就任してリーグ戦2位と躍進したチームが、なぜ失速したのか。そして見えた希望と戦術的なトライとは。ここではJ1百年構想リーグにおける柏レイソルの戦いぶりを振り返る。
まさかの開幕3連敗
開幕戦での川崎フロンターレ戦では、レイソルの昨シーズンの戦いぶりを徹底的に研究された。開始早々からミスが散見されて、6分、11分、25分とエリソンにハットトリックを許し、試合を難しくした。ようやくエンジンがかかると前半のうちに細谷真大、後半に古巣対決の瀬川祐輔、山内日向汰がゴールを返し、数字の上では3点を奪ったが、5失点の大敗。カウンターとセットプレーで、効率よくフロンターレにゴールを奪われ続けて敗戦を喫した。
この試合で特に苦しかったのは、シュート19本を放ちながら敗れたことだ。相手のシュート9本に対して倍以上の本数を打っても、スコアは3-5。つまり、問題はチャンスを作れていないことではなく、仕留め切るゴール前の精度と決定力。そして実際、シーズンを通して何度もこの課題は顔を出すことになる。
第2節の東京ヴェルディ戦では、主力が負傷離脱や体調不良などで、大量14名が不在のなかでの戦いを強いられた。この試合では小泉佳穂のゴールで先制したものの、不運なファールでのFKから失点。そして後半アディショナルタイムに福田湧矢のゴラッソで1-2。原田亘が一発レッドで退場し、2試合の出場停止となるなど、泣きっ面に蜂の内容となってしまった。
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柏レイソルの戦術のキーマンとなっていた原田を欠くなかで迎えた、第3節の王者鹿島アントラーズとの一戦。開幕戦で途中交代を告げられた馬場晴也を右CBで再び起用した。しかし、前半にレオ・セアラにゴールを奪われると、手堅いアントラーズに効果的な攻撃ができず、植田直通のCKからのゴールで0-2で敗戦。3試合連続で複数失点、セットプレーから失点となり、3連敗と最悪のスタートを切ることになってしまった。
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FC東京戦でようやく初勝利も・・・
第4節のFC東京戦。なんとしても勝利がほしかったレイソルは、垣田裕暉が54分に先制し、82分には瀬川祐輔が追加点を奪って、ついに勝点3を獲得した。開幕直後の不安定さを思えば、この勝利は単なる勝点3以上の意味を持っていた。「今季はこのまま沈んでいくのではないか」という空気を、いったん押し返したからだ。
この試合が大きかったのは、先に崩れなかったことだ。ポスト直撃のシュートを浴びるなど、難しい時間を過ごすも0-0で我慢し、後半に仕留めた。焦らずに試合を運び、途中交代や立ち位置の微修正を施したことで得点に結びつけたという点で、本来目指したかったゲーム運びが形になった試合だった。失速のシーズンだったからこそ、こういう試合の価値は大きい。
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しかし問題は、この勝ちを継続できなかったことにある。17年ぶりのJ1での千葉ダービーとなった第5節、FC町田ゼルビアとの第6節で連敗を喫した。やはりパスミスや連携ミスが散見されて、持ち味のパスサッカーがうまくいかないまま、シーズン序盤を過ごしてしまった。
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若手を抜擢し3連勝へ
第7節のアウェイの浦和レッズ戦。前半はスコアレスで折り返したが、後半早々に安居海渡に決められる。するとリカルド・ロドリゲス監督は、山之内佑成と島野怜の大卒ルーキー2人を同時に送り込む。すると、山之内は右CBながら果敢にオーバーラップを仕掛け、瀬川祐輔の同点ゴールをお膳立てした。島野は中盤の底の位置で、相手の攻撃を封じるタスクを見事に遂行してみせた。
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結果的には1-1でPK戦となり、レイソルが勝利を収めて勝点2を獲得した。苦しむチームにとって、この勝点の獲得は非常に大きな意味をもたらした。その後の水戸ホーリーホック戦、横浜F・マリノス戦ではどちらも3-0での完勝。強いレイソルが戻ってきたと、レイソルサポーターは感じていた。
悪夢の6連敗
今振り返ると、この連勝は浮上の入口であると同時に、「ここでさらに伸び切れなかった」ことを際立たせる局面でもあった。流れをつかみかけたところで、その流れを本物にできなかった。FC町田ゼルビア戦で0-1と敗れると、そこから6連敗。J1では24年ぶりの悪夢である。
今季の失速を象徴する試合として、個人的に重く感じるのが第12節の鹿島アントラーズ戦だ。結果は0-1。前半からチャンスを作れてはいたものの、決めきることができずに前半アディショナルタイムに自陣でのロストから失点。シュート13本、CK8本を記録し、後半も押し返そうとしたが、最後までアントラーズゴールをこじ開けられなかった。この試合が痛かったのは、単に負けたことではない。内容が完全に壊れていたわけではなく、むしろ「あと1点」「あと一押し」があれば勝点を取れた可能性があったからだ。だが、アントラーズのように上位にいるチームはこういう試合を落とさない。やれている部分はあるのに、結果だけが積み上がらない。その苦しさが、順位の停滞としてはっきり表れ始めた試合だった。
ゴールデンウィーク連戦となった、FC東京戦、東京ヴェルディ戦、そして浦和レッズ戦でも敗れた。すべてが悲観するような内容の試合ではなかった。しかし6試合で1得点という極度の得点力不足、そしてイージーなミスから失点を献上し、そのまま敗れるという悪い流れが続いた。こうした状況に陥ると、チーム全体は自信を失い、最悪の場合は選手同士の関係性に亀裂が生じてチームが壊れるという事態が発生することもある。ただ、苦しい時期でもチームが結束して戦う強さは、レイソルが持つ最大の特長なのかもしれない。
トンネルを抜けた歴史的勝利
それでも終わらなかった。川崎フロンターレ戦、苦しい連敗のあと、チームは終盤にしっかり反発した。象徴的だったのが第16節の川崎フロンターレ戦だ。今度はホームで1-0の勝利。決勝点は73分、細谷真大のヘディングだった。シュート数は柏8本、川崎11本、CKは2本対10本と、数字だけ見れば簡単な試合ではない。それでも無失点で耐え、ワンチャンスを仕留めた。開幕戦では「19本打って負けた」柏が、この試合では「耐えて勝つ」姿を見せたわけだ。シーズン序盤の課題に対し、チームが少なくとも一つの答えを示した一戦だった。サポーターから見れば、「遅い」と感じる部分はあっても、この勝ち方そのものには確かな意味があった。J1リーグでフロンターレに勝利したのは、実に10年ぶり。歴史的な勝利であった。
続く第17節の横浜F・マリノス戦は、日産スタジアムで0-1の勝利。42分に新加入の汰木康也が決めた1点を守り切り、連勝を達成した。ボール支配率は50%ずつ、シュート数では11本対5本で押し込まれる展開もありながら、レイソルはしぶとく耐えて勝った。シーズン序盤に何度も取りこぼしてきた「こういう試合」をものにしたという意味で、この勝利は終盤の変化を感じさせた。
新たな武器「疑似カウンター」
地域リーグラウンド最終戦。ジェフユナイテッド千葉との千葉ダービーは、4-2と日立台を最高の雰囲気にした。今季の柏レイソルを語るうえで外せない。
この試合では、ハイプレスでゴールを重ねたと同時に、相手がハイプレスを仕掛けた際に、意図的に引き込んでから広いスペースをついて早い攻撃を仕掛ける「疑似カウンター」でゴールを奪った。3点目の細谷のゴールが、レイソルが見せた新しい攻撃の武器である。
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それはプレーオフ第1戦、京都サンガF.C.とのアウェイゲームでも見せた。開始1分の小泉佳穂を皮切りに、垣田裕暉、杉岡大暉が前半までに得点。さらに終盤には小見洋太が2得点、久保藤次郎も加わり、一気にスコアを広げた。杉岡のゴールも疑似カウンターでかつ美しいパスワークを披露し、今シーズンのベストゴールと言えるだろう。
全サッカーファンに届け、これが柏レイソルのパスサッカーだ
— 家から日立台へ。徒歩10分 (@gotohitachidai8) 2026年6月2日
This is The Way of KASHIWA REYSOL. pic.twitter.com/qaF9JqVk8Q
この試合を見て、複雑な気持ちになったサポーターは多かったと思う。これだけできるなら、なぜもっと早く勝点を積めなかったのか――。それでも同時に、この爆発力こそが来季への希望でもある。特に87分以降に3点を重ねた終盤の集中力と、途中出場も含めた攻撃の厚みは、シーズン終盤の柏が確かに前を向いていた証拠だ。第2戦では0-1で敗れたが、2戦合計6-3。最終順位は15位となった。
このままではアジアで勝てない
今季の柏レイソルを一言で表すなら、「弱かった」よりも「続かなかった」が近い。良い時期はあったし、希望を感じる勝利もあった。だが、その流れを優勝争いに変えるだけの連続性がなかった。最終15位という結果は重い。しかし、終盤に見せた川崎Fへのリベンジ、横浜FMとの連勝、千葉戦の4得点、京都戦の6得点には、確かな希望もあった。若手の台頭や新しい取り組みも印象的だった。それでも、サポーターとして悔しさは当然残る。
残念ながら、このままでは2018シーズン以来のACLはあまり良い結果を見込めない。今季の戦いから、反省と改善、そして大量補強が必須だ。この15位が振り返って意味のある時期だったと言えるように、まずはシーズンオフのクラブの動向に注目したい。
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