日本時間の6/11(日)に、UEFAチャンピオンズリーグ決勝のマンチェスターシティvsインテルが開催され、1-0でマンCが初優勝を飾った。グアルディオラ監督就任7年目に、ようやくたどり着いたヨーロッパの頂点。この試合で見せたマンCの最先端のサッカー戦術について深堀していく。
マンCのここまで
偽サイドバックという新たな概念を作り上げたグアルディオラ監督。2022-23シーズンもこの戦術を用いて戦っていた。しかしその役割を担っていたジンチェンコやカンセロが移籍してしまうと、誰に任せるか悩むことになる。
しかし3月以降、彼はジョーン・ストーンズにその役割を任せた。またストーンズの場合、偽サイドバックだけでなく、偽センターバックの役割も与えた。守備時はセンターバックのポジションを取り、攻撃になるとボランチの位置に上がるのだ。リーグの終盤戦はこの形が多くなり、マンチェスターユナイテッドとのFAカップ決勝も偽センターバックの役割をこなした。
驚きの3-1-5-1
そして迎えたチャンピオンズリーグ決勝。スタメンにストーンズの名前があった。普段ならばスタメンのウォーカーを大一番でベンチに置き、CBにはアカンジとルベン・ディアス、左SBにはアケを抜擢した。それ以外はいつものメンバーで守備時は4-4-2のブロックを形成する。
注目すべきは攻撃時の立ち位置である。普通に考えれば4-3-3のシステムで戦うが、グアルディオラのシティはそうではない。DFラインは3バックを形成し、ロドリをその前に配置する。そして普段はロドリの脇にいるストーンズをさらに1列上げた。
2列目は右ウイングにベルナルド・シウヴァ、左にグリーリッシュ。そして中央にギュンドアン、その両脇にデブライネとストーンズ。3-1-5-1という不思議なフォーメーションを形成した。その意図については後述する。
インテルの守備は5-4-1
一方のインテルはインザーギ監督のもと、5-3-2のシステムを確立し2年間を戦っている。この日のスタメンを見てもそのシステムで来ると考えられた。しかし守備時に一工夫加えた。
ラウタロ・マルティネスの立ち位置を、中央から左サイドに配置した。そしてバレッラと共にマンCの3CBの両サイドをマークしに行く。これは普段の戦いではやらない、マンC対策だった。
前半から効いたストーンズの役割
前半で早速その効果は随所に現れた。中盤の枚数は4vs2でマンCが圧倒的に有利。DFラインはフリーの中盤にすぐさまボールを供給し、ボールは簡単に前進した。インテルのブロゾヴィッチとチャルハノールは積極的に前に出てボールを取りに行こうとしたが、かわされるシーンが多かった。
この状況を受け、インテルは時折5-3-2の守備陣形に戻すこともあった。しかしそれもグアルディオラ監督の想定内である。インテルの中盤3枚は、マンCのデブライネ、ギュンドアン、そしてストーンズを見なければならない。そうするとアンカーのロドリは完全にフリーでボールを持てるシーンが生まれる。ストーンズを一列上げたのは、この現象を生み出すためである。
ロドリの得点シーン
それでも前半は0-0で折り返した。インテルも隙を見てカウンターからシュートまで持ち込み、悪くない試合内容であった。後半にはインザーギがバストーニに、ストーンズをマークするよう指示する。3CBの左を務めるバストーニは、後半は積極的にストーンズを捕まえに前に出た。これがマンCのゴールシーンの伏線となる。
迎えた68分。マンCのギュンドアンが左サイドのポケットを侵入。一度ボールを下げ右サイドへ。するとアカンジがボールを持ち運び、ベルナルド・シウヴァへスルーパス。折り返しをフリーのロドリがゴールを決めて見せた。
この前のシーンではベルナルド・シウヴァがドリブルでカットインしていたため、ストーンズは大外に張っていた。そしてフリーのアカンジに対しチャレンジしたのは、バストーニである。彼のマークは本来ストーンズだったが、その瞬間はマークする人がいなかったのでボールにアタックしてしまった。結果背後のスペースを取られ、失点につながってしまった。
インテルも反撃
失点直後からインテルもチャンスを作る。ディ・マルコのヘディングシュートがバーを叩いた。終盤になると4バックに変更し、途中出場のルカクにボールを供給する。ゴセンスの折り返しをルカクがヘディングシュートも、GKエデルソンに阻まれてしまう。
マンCは途中出場のフォーデンが華麗なターンから抜け出し決定機を迎えたがゴールを奪えず。ウォーカーを右SBに投入し守備を固めると、無失点で試合終了のホイッスル。念願の初優勝を果たした。
日本は最先端のサッカーを取り入れるか
DAZNに出演している細江克弥さんは、以前に偽センターバックという新しい戦術が出てくると話していた。その言葉の通りマンCは後半戦にかけてその戦術を使い、アーセナルを抜いてプレミアリーグを優勝した。
日本ではヨーロッパの最先端の戦術が、約1年遅れで流行する。現在Jリーグでは横浜F・マリノスなどが偽サイドバックを採用しているが、まだそれが主流とは言えておらず周回遅れになろうとしている。
現代のサッカー界はトレンドが激しく入れ替わってきている。Jリーグをはじめとする日本サッカーはそれを取り入れるのか、はたまた独自路線を貫くのかに注目していきたい。
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