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ブライトンの監督はなぜ三笘薫を右に配置したのか?

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日本時間の5/15(月)に、プレミアリーグアーセナルvsブライトンが行われ、0-3でブライトンが完勝を収めた。両者ともに重要な意味を持つ戦いに、普段とは異なる戦術で挑んだ。戦術的に魅力が満載だったこの一戦を、詳細に振り返る。

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両チームの基本戦術

アーセナル

アルテタ体制で今シーズンは最高のシーズンを過ごしている。その理由は新加入選手による戦術の固定化である。まず攻撃時は、左SBのジンチェンコがボランチのポジションを取り、システムは3-2-2-3に変形する。マンチェスターシティのグアルディオラ監督のもと、コーチを務めた経験でこの戦術を取り入れた。そのマンCからジンチェンコとジェズスを獲得し、第2のシティとしてプレミアで好調を維持した。

 

守備時は4-4-2もしくは4-2-3-1で構える。ウイングは外切りでプレッシャーをかけ、中へパスを誘導する。中盤がマンツーマンで付いているので、高い中央の高い位置で奪いショートカウンターを仕掛ける。サイドに出された場合は、必ずサイドバックが高い位置まで捕まえにいきプレスをかける。

 

ブライトン

ポッター監督がチェルシーに引き抜かれ、後任にはイタリア人のデゼルビを迎え入れた。緻密な戦術家である彼のもと、ブライトンは躍進している。攻撃時は2-3-2-3に変形し、わざと選手間の距離を縮める。小刻みにダイレクトパスではがし、疑似カウンターの形を作るためだ。

 

守備時はアーセナルとほぼ同様の戦法である。ウイングの選手は相手のサイドバックの上がりに必ずついていくことが、どの試合でも見て取れる。

通常とは異なる戦術で挑む

上記がデフォルトの戦術であるが、シーズンが進むにつれて対策されやすくなる。この試合もそれを嫌って、お互いに異なる戦術を用いた。まず両チームのスタメンとフォーメーションはこちら。

 

ポイント1 三笘を右サイドに

ブライトンのデゼルビは、三笘を左サイドではなく右でスタートさせた。これは相手の偽サイドバックの弱点を突くためである。高い位置で奪えば広大なスペースがサイドにはある。それを有効活用する狙いが、この策に出た理由だろう。

ポイント2 偽サイドバックをやらない

アーセナルはジンチェンコが怪我のため、ティアニーを左SBに据えた。今までであればどの選手でも偽サイドバックのタスクを与えたが、この日はそれをやらなかった。ティアニーの特徴を考えても、彼に中盤でのプレーを強いるのは疑問符があったため、それを改善してきた。

ポイント3 カイセドを右サイドバック

ボランチで存在感を発揮しているカイセドを、この日はサイドバックとして起用した。けが人が続出しているため、本職の右SBがおらずグロスか彼が担当することになるのは分かっていた。ここでカイセドを選択したのは、彼の身体能力の高さを活かしたディフェンスに期待したからと考えられる。

 

内容

前半はアーセナルが守備でリズムをつかむ

ここからは試合内容の詳細に移る。前半の展開は、ブライトンがボールを握り、アーセナルが守備をする構図となった。アーセナルもボールを握りゲームを支配するチームだが、この日は違った側面を見せた。

 

アーセナルの守備には明確な戦術があった。まずCBの6コルウィルにフリーでボールを持たせる。このとき9ジェズスは5ダンクを必ずマークし、展開させないようにする。中盤はそれぞれ担当を決め、マンツーマンで対応。28ファーガソンに対しては6ガブリエウが密着マークする。

 

セットしたら8ウーデゴールがファーストディフェンダーとしてプレッシャーをかける。27ギルモアへのパスコースを背中で消しながら、パスコースを限定する。同サイド圧縮をし高い位置で奪ったら、速攻を試みる。この戦術が前半は機能していた。

 

 

一方ブライトンは三笘を右で起用した策を、30分で諦め通常の左サイドに戻した。その直後にホワイトをドリブルで抜き決定機を演出した。しかしチームとしてはショートパスでなかなかシュートまで持って行けず、苦しい前半であった。

 

後半早々にデゼルビが動く

ハーフタイムでデゼルビは、エンシソに明確な指示を出した。それは51分の先制点に繋がる。ロングボールを受けた三笘に対し、エストゥピニャンがオーバーラップ。三笘は彼にパスを出しクロス。弾かれるももう一度上げ、中にいたエンシソがゴールを決めた。

 

このシーンでは、右サイドにいるはずのエンシソが中にポジションを取っていた。それは前半を受けての、ポジション変更をデゼルビが指示したからだ。センターフォワードファーガソンにはガブリエウが必ず付いてくる。そこを逆手に取り、ファーガソンはサイドに流れ、エンシソが空いた中央にポジションを取る。そうすることでサイドバックのティアニーに迷いが生じた。得点シーンではティアニーがガブリエウより中にいた。

 

交代策でさらに点差は広がる

アーセナルは優勝のために勝たなくてはいけない状況。ビハインドを背負ったことで交代カードを切った。システムは変えず、4名を入れ替えた。しかしこれが機能せず、逆にインサイドハーフにポジションを移したトロサールのパスミスから2点目を奪われた。

 

一方のブライトンはウェルベックとウンダブを投入した。ストライカー2人を使うのは珍しいことだが、ウェルベックにはトップ下でボールの中継役としての役割を与え、見事に機能した。ウンダブも決定力な高さを見せ、ループシュートでゴールを決めた。終了間際にはミドルシュートを枠内に飛ばし、3点目をおぜん立て。

 

交代策が裏目に出たアルテタと、成功したデゼルビ。試合は終わってみれば0-3とブライトンの完勝で幕を閉じた。

デゼルビが今後のサッカー界に革命を起こすか

明確なサッカー哲学をもとに、ブライトンの躍進を支えるイタリア人監督は、この試合でも見事な策略でアーセナルを撃破した。グアルディオラからも称賛された指揮官は、ブライトンにとどまらず今後ビッグクラブで監督を務めることになるだろう。

 

サッカー界の新星は、終盤に世界のトップを走るマンチェスターシティと激突する。この試合でも勝利を収めると、いよいよ時代はグアルディオラから彼のものになるだろう。

 

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