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なぜ日本代表はイラクに負けたのかを深掘り


サッカーAFCアジアカップのグループD第2節、日本vsイラクが1/19に行われた。日本は立ち上がり早々を含め前半に2失点を喫し、1-2で痛い敗戦となった。この試合で勝敗を分けたポイントを深堀したい。

イラク側の視点

日本戦のためのメンバーと戦術

インドネシア戦から6名を入れ替えて臨んだ。通常であれば勝利した試合のメンバーをそのまま起用するはずだが、イラクはこの第2戦の日本に対してあらかじめ準備をしていたと思われる。リードした場合に5バックを使うこともプランしていたはずだ。

またロングボールを多用する戦術を採用し、そのこぼれ球からサイドを攻め立てる。特に左サイドの17ジャシムと7アミン、25アルハッジャージは日本の脅威となり、対応した菅原は手を焼いた。結果として2ゴールともその左サイドから見事にゴールを決めている。

FWフサインのポジション

イラクの長身FWフサインのポジショニングは秀逸だった。日本のCBにマークされない位置に立ってボールを引き出し、ヘディングで味方に繋いでいた。先制点の起点となってゴールを決めたプレーがまさしくその形で、ゴールから遠いところで受けてから、ペナルティーエリアに侵入した。日本からしてみれば、最初の場面では伊東が対応したが競り勝てず、その後については完全にフリーにさせてしまった。

日本側の視点

南野の左ウイング起用

三笘が怪我で間に合わないこの一戦、予想スタメンは中村だった。ベトナム戦でスーパーゴールを決めたドリブラーは、間違いなく存在感を示していた。それにもかかわらず、彼をベンチに置き、森保監督は南野を左ウイングに据えた。勿論、南野は左サイドも出来るがドリブラーではない。中央への侵入やライン間でのターンが最も得意であり、なぜ左サイドを務めさせたのかは疑問だ。もし可変システムで攻撃時に3-4-2-1にする狙いがあったのであれば、左サイドバックの伊藤はもっと高い位置を取らなくてはいけない。しかし彼は攻撃的なサイドバックでないことは、すでに周知の通りである。前半は機能不全に陥ったため、後半からは中央に南野、右に久保、左に伊東という並びに変更した。

鈴木の経験値

GK争いでスタメンの座を勝ち取った鈴木だが、安定したパフォーマンスを見せられていないのが現状だ。身体能力の高さを生かしたセーブが持ち味で、マンチェスターユナイテッドがオファーを出したほどのポテンシャルを持つ。森保監督も今大会は鈴木にチャンスを与えて、その才能を開花させようとしているように思える。しかしこの試合でもいくつかのミスがあり、前半で2失点を喫した。A代表の出場経験がまだ少ないことが、パフォーマンスに影響しているのかもしれない。

コンデションとメンタル

メンバーの大半がヨーロッパで戦っている日本にとって、暑いカタールでの戦いは難しいものになる。実際に遠藤や久保、菅原などはトップパフォーマンスからほど遠いように思えるし、この試合では個々で打開する場面は少なかった。クラブで試合に出場し続けている影響もあるだろう。

またメンタル面でも難しいところがあり、例えばクラブに残って試合に出たかった選手もいることだろう。また対戦相手も日本から見れば格下と思えるチームなので、自然とモチベーションが上がるわけではない。一方でイラクのようなチームはジャイアントキリングを起こそうと必死になってくる。その差がこの試合で現れてしまったかもしれない。

痛い敗戦も収穫あり

日本代表の連勝記録は11でストップした。このグループの中で最も手強い相手を攻略出来ず、まさかの敗戦を喫した日本代表。

 

しかしこの敗戦で、W杯優勝を目指すチームは天狗になることはもうないだろう。ドイツなどの強豪国を倒したとはいえ、自分たちはまだまだ弱いということを再認識したはずだ。

 

この敗戦から学ぶこともある。アジアの中で圧倒的な強さを見せつけることを期待されていたが、やはりその段階ではないことに気付いたからだ。ここからのバウンスバックで、アジアカップ期間中の更なる進化を期待したい。

 

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