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時間は遡る?Jリーグで起こった前代未聞の事象を深堀

J1の第9節で珍しい事象が、2試合で発生した。ゴールが取り消され、相手チームにPKを与えたというものだ。ここではなぜこのようなことが起こったのかについて、深堀していきたい。

 

ゴール取り消し判定までの流れ

札幌vs福岡

53分に、札幌がボールを自陣でカットすると、浅野がロングシュート。これが決まりスーパーゴールと思われたが、VARが介入する。約30秒前の、青木の自陣ペナルティーエリアプレーがハンドである可能性で、ゲームは中断する。オンフィールドレビューの結果、判定は覆りハンドで福岡にPKが与えられた。これをルキアンが決め、3-1だったスコアボードが、2-2になった。

名古屋vs湘南

79分に名古屋が自陣から繋ぎ、最後はマテウスカストロが決め、3-1としたかに思えた。しかしVARが介入し、約40秒前のシーンで湘南にPKを与える可能性を指摘。オンフィールドレビューの結果、名古屋の中谷が湘南の山田を倒したとし、湘南にPKが与えられた。町野がPKを沈め、3-1のスコアボードが2-2となった。

なぜこのようなことが起こったのか

一昔前にはありえなかった事象が、なぜ起こったのか。まずJリーグでは2021年から本格的にVARの導入し、映像確認による判定を可能にした。これが過去に遡るツールとして、今までのサッカーの概念を変えた。

 

また2試合とも、VARサイドが主審に提供できる映像角度をすぐに探せなかったため、時間がかかっているうちにゴールが生まれた。どちらも一度見ただけでは判断が難しいシーンだった。

 

そしてDAZNのジャッジリプレイで、元レフェリーの家本政明氏は遡れる時間について、このように話した。

ルール上どのくらいまで遡っていい、という明確な基準はない。もちろん手短に、というのはレフェリーは必ず意識している。

つまり現状のルールでは、疑惑の判定があれば何分前でも遡って確認し、判定を変更できるのだ。

 

これらが組み合わさった結果、今回のような摩訶不思議な出来事が発生したのだ。

 

VARによる弊害

確かにVARによって、見逃された判定が正しい判定に変わったことは間違いない。しかしサッカーをエンターテイメントと捉えた際、様々な弊害をもたらす。

 

一つは大幅な時間のロスだ。特に名古屋vs湘南は、上記のシーン以外でもVARが何度も介入した結果、前半で5分、後半で8分のアディショナルタイムが加えられた。13分も止まった時間があると、選手もサポーターも苛立ちを見せてしまうだろう。

 

またスーパープレーが記憶と記録から消されることも挙げられる。札幌の浅野のロングシュートは年間ベストゴールに入ってもおかしくはないくらい、素晴らしいシュートだった。しかしそれは幻となってしまい、記録には残らない。そして周囲の人々からも忘れ去られてしまうだろう。

 

このようなマイナス面があることを考慮してでも、サッカーにはどんどん機械や技術が入ってくる。この流れをもう止めることは難しいが、その果てにあるサッカーは純粋に楽しめるものなのか。今回の事象から考えさせられることは多い。

 

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