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<エッセイ>J2甲府がアジアで戦うということ

f:id:gotohitachidai8:20231109113043j:image11/8(水)にACLヴァンフォーレ甲府vs浙江 FCが行われた。ここではその試合に観戦して感じたことを綴っていく。

 

この日は仕事終わりに国立競技場で開催されるACLの試合を観に行くことにした。久しぶりにヴァンフォーレサポの友人に会うことと、レイソルに在籍した選手(武富孝介クリスティアーノ)を見ることが主な理由である。

 

会う約束をした彼は既に別の友人と観戦することになっていたため、試合中は別の席で観るがキックオフ前に会えることになった。大学時代の友人で、甲府出身かつ在住だ。今年の1月にも甲府で会ってはいた。

 

「久しぶり、元気にしてる?」

駅で待ち合わせた。

「ああ、仕事大変だけど元気だよ。」

彼の仕事はアナウンサーで多忙を極める。しかしヴァンフォーレ甲府のスポンサー企業でもあり、かつ昔からヴァンフォーレを応援しているのでこの試合を観に行くよう調整したようだ。

 

近況をいろいろ話しながらスタジアムへ向かう。

「国立の試合にしては人少ないな。」

「まあそんなもんよ。1万人いけば充分。」

ホームスタジアムの小瀬はAFCの定める規定を満たしていないため、ACLはここ国立で戦うことになっている。しかし平日の夜に東京へヴァンフォーレサポーターが駆けつけるのはハードルが高い。そこで各Jリーグサポーターが集まるよう呼び掛けている。

 

実際多くの異なるユニフォームを着たサポーターがいた。レイソルはもちろん、川崎フロンターレ鹿島アントラーズベガルタ仙台松本山雅FCツエーゲン金沢、、、挙げていったらキリがない。

 

座席はバックスタンドのため、スタジアム外から廻ったが道中に人がほとんどいない。

「試合終わり2時間後のような風景だな。(笑)」

実際はキックオフ40分前である。

 

入場してトイレに行くと、スーツを着た男性が友人に声を掛けた。甲府市長である。彼が以前インタビューしたことがあるようだが、わざわざ向こうから声掛けるとは。だが筆者が感じたこの距離感の近さは、今回が初めてではない。

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遡ること今年の1月、筆者は甲府を訪れていた。この友人が結婚して子どもが誕生したお祝いをするためだ。家族3人と共にランチをした際、店員が子どもが来てくれたことを心から喜び、会計後に家族に金一封を渡した。突然の出来事に我々は驚きを隠せなかった。

 

甲府という町にはこのような温かみと距離感の近さがある。市長との出来事もそれを象徴していると感じた。

 

キックオフ直前になったので、また甲府で会うことを約束し別れた。試合のメンバーを見ると、クリスティアーノはベンチ入りしたが、武富はメンバー外。2017年の武富のネーム入りユニフォームを持ってきたが、これを知ってレイソルのユニフォームは着なかった。

 

試合が始まるとヴァンフォーレが良い入りをしてチャンスを掴む。そしてピーター・ウタカが先制ゴールを決めるとサポーターは沸いた。だがオフサイドフラッグは上がっていた。会場は残念がるが、間も無くVARによるチェックが入る。沈黙が続いたのち、ゴールは認められた。

 

再び場内は歓喜に包まれる。前の座席の人は筆者含め周りの席の人とハイタッチしに行った。ちなみにその人が着ていたユニフォームは明らかにどこかの町クラブのもので、Jクラブではない。

 

その後もヴァンフォーレは素晴らしい戦いを見せて、4-1の大勝を収めた。もちろんサッカーの内容も賞賛すべきだが、ファンやサポーターが作り上げる熱気と雰囲気は欠かすことができない。

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距離感の近さと温かさ。それはこのヴァンフォーレ甲府という地方クラブが生み出すものだ。一時は存続の危機にあったクラブが2022シーズンの天皇杯ジャイアントキリングを数々成し遂げ、見事に初優勝を果たした。そして今シーズンはアジアの舞台へ。自然と応援したくなるクラブである。

 

あらゆるクラブのサポーターが、1クラブを応援する光景は世界的には珍しい。諸外国では考えられないことである。日本人が持つ「和」の心。それを引き出してくれるクラブが甲府にはあるのだ。

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*写真はすべて筆者が撮影

 

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