2/3にサッカーのアジアカップ、準々決勝の日本vsイランが行われた。守田英正のゴールで先制した日本だったが、後半に逆転を許し1-2で敗戦した。優勝が確実視されたものの、まさかの結果に終わってしまった。この大会をまとめていきたい。
前評判は最高潮に
史上最強とも言われ、大会前は非常に期待度が高かった。2022年のカタールワールドカップでドイツとスペインに勝つ快挙を成し遂げると、その後はヨーロッパの各チームでレギュラーとなった選手たちが素晴らしいパフォーマンスを見せ、代表でも上位の国をなぎ倒す快進撃。
昨年9月に行われたドイツとのリターンマッチは、アウェイにもかかわらず4-1とリベンジを許さず。どの試合も大量得点で勝利したサムライブルーに対し、下馬評は高く盛り上がりを見せた。元旦のタイとの親善試合でも5-0の大勝。この日本代表なら必ずアジアの頂点に立つと、誰もが信じた。
苦しんだグループステージ
しかし大会に入ると、苦しい試合が続く。初戦のベトナム戦では、元日本代表監督のトルシエに苦しめられ、一時はリードされる展開に。それでも前半のうちに3-2とひっくり返して、結果4-2の勝利を収めた。
続くイラク戦では、予想しなかった展開が待ち受けていた。長身FWフサインに2ゴールを許すと、攻撃陣はイラクのゴールネットを揺らすことができないまま、1-2の敗戦を喫してしまった。グループステージ最大のライバルに苦杯をなめ、1位突破の希望が潰えてしまった。
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第3戦のインドネシア戦では、多少のテコ入れを図り3-1の勝利を収めた。2位突破で決勝トーナメント進出を決めた。
強敵イランに屈する
バーレーンとの決勝トーナメント1回戦は順当に3-1で勝ち進み、ベスト8ではイランと相まみえた。アジアの中では日本に次ぎ、FIFAランキング上位であるチームだ。しかし前の試合ではPK戦までもつれ込み、エースのタレミも出場停止。日本に有利な状況ではあった。
試合は立ち上がりこそバタついたが、徐々にリズムをつかむと前半28分に先制点を奪う。上田綺世のポストプレーから守田が持ち運び、相手のセンターバックをかわしてGKと1vs1に。シュートは相手の足に当たるも、ゴールネットに吸い込まれた。その後イランが盛り返すが、前半は1-0で日本がリードする。
後半はイランが攻勢を強める。ロングスローやセットプレーからシュートチャンスを作る。すると55分に裏を取られて同点にされる。勢いに乗るイランに対抗するカードとして、森保監督は三笘薫と南野拓実を同時に送り込んだ。しかし流れは変わらず、イランのシュート数はどんどん増えていく。そして後半アディショナルタイムの51分、板倉滉がPKを献上してしまい、ジャハンバフシュに痛恨の勝ち越しゴールを許し、試合終了。1-2でまさかのベスト8敗退となってしまった。
複合的な要因がこの結果を招いた
心の隙
圧倒的な強さで挑んだ日本代表だったが、それまでがさすがに出来すぎであった。そしてアジアの中であれば無双状態になるだろうという雰囲気は、心の隙を生んだのかもしれない。初戦から普段しないようなミスが多発し、かみ合っていないシーンも散見された。シーズン中にクラブを離れ、格下とされる相手に対しモチベーションを上げることは難しかったはずだ。JFAの公式Youtubeでは密着映像が公開されているが、そのなかで菅原由勢がミーティング中に居眠りして、その後ひとり最前列に座らせられたのは、その象徴と思われる。
2選手の離脱
旗手怜央と伊東純也の離脱はチームに大きなダメージを与えてしまったことだろう。まず旗手はポリバレントに様々なポジションができる上に、強度の高いプレーを継続できる。頼もしい存在として、バーレーン戦にスタメン出場したがケガで前半に交代するアクシデントに見舞われた。そして検査の結果、代表チームから離脱することとなってしまった。ワールドカップ落選の鬱憤を晴らす舞台だったはずだったが、またも不運に遭ってしまった。
伊東については、週刊新潮から性加害疑惑が突如として報道されたことで、チームに激震が走った。伊東側は事実無根として告訴状を提出したが、関係各所へのダメージは避けられず。二転三転した結果、イラン戦の前日にチームから離れることが最終決定された。
遅すぎた交代
森保監督はこのイラン戦で思い切りのよい交代策を行うことがなかった。三笘をベンチに置き、前田をスタメン起用する狙いは見ている側にも理解できたが、後半開始からイランに押し込まれた展開になったにも関わらず、変化を起こすことをためらった。特に板倉のパフォーマンスは前半から低調で、ハーフタイムで変えても良いくらいだったが引き続き残した。そして67分に三笘と南野を投入しても流れは変えられず。後半アディショナルタイムにPKで勝ち越しを許した。あのままでなぜ良しとしたのか、監督の判断には疑問符が付く。
W杯ベスト8へのレッスンにしたい
2023年は素晴らしい戦いを続けたものの、このアジアカップではその期待を裏切る結果になってしまった。しかしこの大会を、2026年の北中米ワールドカップへのレッスンとしたい。
長年の課題だがロングボール主体の攻撃には手を焼いてしまうことが明確になった。イラクとイランという典型的なフィジカル重視のチームに対し、2敗したのは偶然ではない。この課題をクリアできるかが、今後の焦点になってくる。
また収穫もあったことは確かだ。GK鈴木彩艶は安定感に欠けたものの、1vs1を止めるなど高い能力を見せるシーンもあった。また右SB毎熊晟矢は高いパフォーマンスを発揮し、バーレーン戦では見事なミドルシュートでゴールに関わった。今後の右SB定位置確保へ、アピールに成功したと言える。
各選手、悔しい思いはあるはずだ。今の日本代表はまだまだであると再認識させられた。ここからさらなる成長を期待し、まずはワールドカップ予選を戦い抜きたい。
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