8/21(月)に、柏レイソルは栃木SCへレンタル移籍中だった山田雄士の復帰を発表した。契約期間の途中での復帰は異例であることから、ここではその狙いについて考えていく。
栃木SCでスタメンを勝ち取る
レイソルユースで10番を背負い、2019シーズンにトップチームに昇格した山田は、2023シーズンから栃木SCへレンタル移籍していた。レイソルではなかなか思うように出場機会を得られず、大型補強の影響もありJ2でのチャレンジを選択した。
徐々にチームで出番を増やし、第8節からスタメンの座を手にした。ここまで25試合中22試合にスタメン出場し、2ゴール4アシストを記録している。3-4-2-1のシャドーの位置でよりゴール前へ侵入する回数が増えたことが結果に表れている。
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データを見ると攻撃面ではドリブルでチームをけん引しており、J2全体では36位と上位のスタッツを残している。また守備面ではボール奪取能力に長けており、チーム内で4番目に高いデータを残している。
参照:FootballLab公式ホームページ
求めるのはプレッシャーの持続
山田雄士のシーズン途中のレンタルバックは何を意図しているのか。おそらくレイソルは前線からの守備について、彼の起用が打開策になると考えたのだろう。4-2-3-1のシステムを定着させた今、トップ下を務めているのは同じ苗字の山田康太である。前半戦はなかなか出番がなかったが、中断明け以降はトップ下でスタメンを確保している。
素晴らしいテクニックが持ち味である一方で、前線からのプレスをかけ続けるタスクを堅実にやり続けている。前半から精力的に走り、ボランチのパスコースを消しながらセンターバックへプレスをかける。はがされても2度追いすることを厭わない。今のレイソルはこのプレスがあるからこそ失点が少なくなってる。
しかしこの夏場に90分間やり続けるのは無理である。おおよそ60~70分で交代となるのは致し方ない。そこからの戦い方に、今のレイソルは問題を抱えている。前線からのプレスをやめ、簡単に自陣への侵入を許しボールを運ばれる。その結果終盤にはゴールを決められるというのが、直近2試合で発生している。
仙頭やフロート、武藤といった攻撃的な選手をいつもベンチに置いているが、彼らはゴール前で違いを出すプレイヤーである。もちろんハードワークできるが得意にしているわけではない。テクニックがあり前線からのプレスを持ち味とするプレイヤーと考えた時に、栃木SCで活躍する36番に白羽の矢が立ったのだろう。
残り10試合のキーマンになれるか
栃木SCでプレーを続けずレイソルに復帰を決めたのは、自信をつけ今ならレイソルを救えると考えたからだろう。チームに多少の迷惑をかけることになるが、栃木SCでの半年間は間違いなく彼の財産になったはずだ。
そして自分の育ったクラブで恩返しをする時が来た。重要な場面で勝ち点を落とし続けるチームを助けるのは、この男なのだろうか。レイソルが残り10試合でJ1残留するために、山田雄士は日立台で再び輝きを放つ。