2023シーズンは低迷し残留争いに巻き込まれている柏レイソルだが、8月から公式戦では1敗のみとチームは好調だ。天皇杯では決勝にまで駒を進め、前半戦の鬱憤を晴らすかのように素晴らしい戦いを続けている。その柏レイソルの好調の要因について解説していく。
ようやく見つけたベスト布陣
ネルシーニョ監督から井原監督にバトンが渡り、まずテコ入れしたのは攻撃面だった。可変システムを採用し、4-4-2から攻撃時は3-4-2-1へ変形してポゼッションからゴールを奪う仕組みを作った。実際ゴール数は格段に増えたものの、肝心の勝ち点を拾えない。北海道コンサドーレ札幌には4-5、横浜F・マリノスには3-4と大逆転負けを喫した。
そのため中断期間に戦い方を再構築することになった。システムは4-2-3-1をベースとし、変形せずに高い位置でボールを奪い、シンプルに速攻を仕掛けるスタイルに。メンバーも守備力が高く、走れる選手をスタメンにしこの戦いを浸透させた。そして天皇杯の北海道コンサドーレ札幌戦に勝利すると、チームは勢いをつけ安定した戦いを披露することになったのだ。
チームを変えた5選手
ここではこの好調を生んだ選手たちにフォーカスしたい。
細谷真大
2023シーズン、絶対的なエースへと飛躍を遂げた若きストライカーは、現在2桁ゴールを達成した。その要因としては、必ず1試合のうちに1度は来るサヴィオからのスルーパス、そしてGKとの1vs1を決めきる力が付いたことだ。フィジカル能力が昨シーズンよりも1段パワーアップしたことで、相手DFを弾き飛ばすことも珍しくなくなった。そして今の速攻スタイルにマッチしている、相手DFの裏を突くタイミングも抜群で、レイソルの攻撃の核となっている。
山田康太
開幕からスタメンに抜擢され、新しいレイソルの中心選手となることを予感させたが、方針転換によりメンバーから外れることもあった。井原監督に変わってもなかなか出場機会を得られなかったが、天皇杯のコンサドーレ戦で得意のトップ下でスタメンに選ばれると、献身的なディフェンスと巧みなテクニックでチームを牽引。ゴールこそ少ないが彼の起用が一つポイントとなった。
犬飼智也
浦和レッズから加入した救世主である。実績十分なセンターバックは京都サンガFC戦ですぐにスタメンとなった。以降堅実なディフェンス対応とリーダーシップは、レイソルの最終ラインを安定させることに繋がった。サンフレッチェ広島戦で見せたスーパーなシュートブロックは彼だからこそなせる業である。なお新たにお子さんが誕生したことも非常にモチベーションとなっているはずだ。
戸嶋祥郎
プレシーズンで好調だったにもかかわらず、前半戦スタメンに選ばれなかった戸嶋はシーズンが進むにつれて存在感を発揮している。ボランチだけでなくサイドもこなすユーティリティー性と無尽蔵のスタミナは、攻守におけるレイソルの要となっている。現在は右サイドに固定されており、その中で8月以降は3ゴールを決めている。ピッチ外でも盛り上げてくれる戸嶋の存在はレイソルにとって欠かすことは出来ない。
ジエゴ
今シーズン加入したものの開幕から怪我により長期離脱。夏場に復帰を果たすと左サイドバックのスタメンを奪取し、高いパフォーマンスでチームを支えている。身体能力の高さを生かしたディフェンス、ダイナミックなオーバーラップは魅力的である。サヴィオとの阿吽の呼吸を見せるシーンもあり、左サイドからの攻撃回数が増えたのもこの男がもたらしたものだ。
確立したスタイルで5節を戦う
今のレイソルは固い守備から、サヴィオと細谷を中心とした速攻が武器となっている。そして上位陣相手にもしっかりと勝ち点を重ねることができており、湘南ベルマーレ、横浜FCと3チームで行われている残留争いでは少しリードしている。
だが依然として予断を許さない状況であり、上記以外の選手にも活躍を期待したいところだ。特に今週末の浦和レッズ戦は主力が複数名いないため、ベンチメンバーが奮闘しなければ難敵から勝ち点を奪取することは不可能だ。ただ今の戦い方で間違いはない。自信を持って残り5節を戦い抜き、J1残留を確定させたい。
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